二人称形式の〈私小説〉――小島信夫『疎林への道』論
日本文芸学会 第58回全国大会
日本文芸学会
二松学舎大学九段キャンパス
小島信夫『疎林への道』(『群像』1966年1月、短編集『階段のあがりはな』〔新潮社、1970年5月20日〕所収)を対象に、形式選択と曖昧な描き方とに上の世代の〈私小説〉のあり方に対する批評意識を認め、同時に、記述の空白を補充することを読者に促す点に〈私小説〉を生成発展させてきた文脈への依存がなお見られることを考察したもの。