(書評) 細谷千博・本間長世・入江昭・波多野澄雄編『太平洋戦争』(東京大学出版会、1993)
〔概要〕太平洋戦争にいたる過程で世界各国の政策がもった影響を、多角的かつ重層的に検討した本書を、ヨーロッパでの戦争が日米開戦に与えた意義と、対日宥和が本格的に展開されなかったとの指摘を、それぞれ「二極化なき」世界戦争という視点と、イギリスの対独宥和政策との対比の視点から論じた。さらに日米研究関係者を中心に、戦前の地域主義の日本と戦後アメリカの自由主義に協調した日本という対比が、無批判に前提とされている点への批判を行った。
『国際政治』
第121号