中国の聴覚―中国文化に於ける聴覚の使用に関する 一考察―
「詩」は言語を媒介にした記憶・再生装置と捉えることができる。多岐にわたる感覚の使用のうち、量的にはまず視覚、次いで聴覚となるが、聴覚は詩テクストの現前化に独自の役割を担っていると思われる。 そこで、本稿では、六朝の文学理論書『文心雕龍』を手がかりに、中国詩の原点である『詩経』の音声表現に焦点を当て、詩芸術に於ける聴覚の役割を明らかにするための基礎的な考察を行うとともに、中国文化に於ける聴覚研究の構図を示した。
『山形女子短期大学紀要』
山形女子短期大学
第2集
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