三島中洲「泰卦講義」について
『中洲文稿』第二集に三島中洲が初めて行った明治天皇に対する御進講の記録「泰卦講義」が収録されている。この講義は二松学舎大学に残される『周易私録』に基づくと考えられるが、この『私録』を見ると、中洲の易解釈には程頤の『程氏易傳』だけでなく、歴史的事件との関連性で説く部分には南宋・楊萬里の『誠齋易傳』の影響があり、また全体的に明代の易学(何楷、來知德)が参照されていることが分かり、幕末明治期の経学の実態を明かす上で重要であることを論じた。
『陽明学』
二松学舎大学東アジア学術総合研究所陽明学研究室
第25号
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