「親鸞の他力念仏と門弟の信仰」
先行研究では、親鸞の教えに多数の異義が発生したことが指摘されており、異義発生の理由を弟子の側に求めてきた。それに対して本稿では、親鸞の教えは必ずしも一貫していなかった点を指摘した。親鸞の著作を丹念にひもといてみると、年代によって親鸞の教えに揺れが生じていることを確認できるのである。優れた宗教者親鸞においても、死後の世界観について論理的に一貫した布教を行なうことは難解だったのであった。
『日本歴史』
日本歴史学会
第666号
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