「自己特化の文学―「いのちの初夜」と同時」
ハンセン病を患い、療養所に隔離されていた作家・北條民雄と、彼の代表作「いのちの初夜」について検討した。特に北條が一躍脚光を浴びたという現象から、当時の文壇が文学におけるリアリズムとは表現技法の巧拙ではなく、苛酷な体験をした者の肉声こそ必要なのであるという経験主義へ傾斜していった様子を検討した。
国語と国文学
東京大学国語国文学会
82巻
12号
32
49