蘇曼殊『碎簪記』-恋愛悲劇の意味するもの
平成13年3月10日. 清末民国初の詩人、蘇曼殊の『碎簪記』は、『新青年』誌上に初めて登場した小説である。文言で書かれたその内容は題材・描写すべてに渉って非常に古典的であると同時に、新しい時代に生きる著者の恋愛悲劇を描いて、新しい社会思潮をも代弁していた。『碎簪記』に描かれた恋愛悲劇を通して、そこに反映された時代思潮を窺うと同時に、『碎簪記』の小説としての特質を明らかにした。
二松学舎大学人文論叢
第68輯