風土記の浦島子伝の研究――伊預部馬養と浦島伝承――
「風土記の浦島子伝の研究Ⅰ」「風土記の浦島子伝の研究Ⅱ」を踏まえ、当該記事を伝承としてきた先行論の問題点を指摘し、8世紀の書記として見る必要を論じた。本稿で扱った所謂浦島伝承は、後の時代においても享受されており、巌谷小波を経て国民に知られるようになるのであるが、解釈の前提として伝承を置いてしまったために、日本文学史としてのありようを捉えきることができなかったのである。本論文では、その始発となる8世紀の記述を対象とし、地誌のありようについて考察した。
都留文科大学