柳田国男/田山花袋と<樺太>-花袋の『アリュウシヤ』『マウカ』をめぐって-
花袋が柳田国男からの聞き書きによって著した『アリュウシヤ』(明治39年)、『マウカ』(明治40年)という二つのテクストを、ポスト・コロニアル批評の成果を導入して分析した。日露戦争直後に発表された二つのテクストは、当時読者の<樺太>に対する意識を代表=表象した、その意味で政治的なテクストである。E・サイードもいうように、一見政治とは無関係のもの(小論では自然主義文学)こそ、その政治性が問わなければならないことを論じた。
日本近代文学
日本近代文学会
第58集
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