『生』の語りの分析-<人称>をめぐって-
「語り」分析を、実際の小説テクストである花袋『生』(明治41年)に応用した論。『生』は<三人称>の小説テクストであるが、その前半は回想を中心とした<一人称>のメタ物語が多くを占めている。その意味では「1」で指摘したような、当時の短編テクストと似た構造を有している。しかしそれが作中人物の増加にともなって、後半では<焦点化>の移動など、本来の意味での<三人称>的語りに変貌する様を考察した。
花袋研究学会々誌
花袋研究学会
第10号
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