花袋小説における<人称>の問 題-明治四〇年前後の短編の分析-
明治40年前後における田山花袋による短編テクストの「語り」分析。「文章世界」を中心に、花袋は数多くの「描写論」を書いている。そこで花袋は人称に関して<一人称><三人称>の違いを述べ、実際の小説テクストでも、一見様々な手法を用いているようにみえる。しかしG・ジュネットによる分析概念によって分析を試みると、<三人称>のテクストでも基本的に<一人称>の枠から出ることのない、限られた手法しか用いられていないことを実証した。
立教大学日本文学
立教大学日本文学会
第66号
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