西行の自歌合である『御裳濯河歌合』『宮河歌合』無刊記板本について、架蔵の二本を紹介した。神宮文庫蔵本と表紙が異なるものの、本文が完全に一致した同一の板本と言える『宮河歌合』一冊と、その本と一具の『御裳濯河歌合』無刊記板本1冊である。『御裳濯河歌合』無刊記板本について、第二類本に属し、伊藤嘉夫氏藏写本及び篠山鳳凰高等学校蔵元禄十五年写本と同系統で本文の著しい近似が見られることを確認した。また、伊藤嘉夫氏本に近い本文に校訂を加えて版下にしたものが『御裳濯河歌合』無刊記板本と』考えられることを結論づけた。