『明月記』における『論語』引用の意義
『論語』は定家をはじめとする当時の貴族達に親しまれた古典で、日記の表現に多く用いられているが、『明月記』を見ると、身内の衝撃的な行動、先人の著した古典文学への並々ならぬ讃辞、印象深い人物への批評に用いられるなど、特別な意味合いを持っているということを示した。和歌の実作や歌論で摂取された表現も踏まえていることが見て取れる。以上のことから定家のこの書に対する特別な位置付けを見出せると結論づけた。
『明月記研究』
明月記研究会
14号
156
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