江藤茂博・牧角悦子監修、松本健太郎・王怡然編『日中文化のトランスナショナルコミュニケーション コンテンツ・メディア・歴史・社会』所収。新選組の局長であった近藤勇は幼少時から関羽に心酔していた。近藤が関羽を知ったのは父による読み聞かせであったが、明治時代の資料からその書物が湖南文山『通俗三国志』であったろうことを推論した。また、当時の人々が三国志や関羽を受容したルートとしては、書物以外にも講釈・歌舞伎・浄瑠璃・川柳などがあり、関帝信仰を背景とする関帝霊籤や祭りの山車もあった。近藤の道場は江戸市中にあり、これらの芸能・文化にアクセスしやすい環境にあったことも述べた。