元末明初に成立したとされる『三国志演義』(以下、『演義』)の関羽は、「美髯」「重棗」「丹鳳眼」「臥蚕眉」といった容貌を持ち、青龍偃月刀を得物として、赤兎馬に跨る。『演義』はかかる視覚的特徴を有する関羽像をスタンダードとして確立し、それを普及させる役割を担った。しかし、それはスタンダードではあっても、関羽像の完成形ではなかった。関羽像は『演義』を超えて発展を続けた。では、関羽の視覚的特徴は具体的にどのように形成され、どう受容されていったのか。本報告では、まず『演義』において結実した関羽の視覚的特徴について、