『三国志演義』における呂蒙像について
『三国志演義』(以下、『演義』)における呂蒙の描写を、『演義』以前の人物像や『演義』につけられた評語も含めて全面的に分析・検討した。そうすることで後に神格化される関羽の最大の敵といえる人物がどのようにしてその地位にふさわしいキャラクターを獲得したかを示し、『演義』における人物造形の一端を詳しく解明することを試みた。その結果、呂蒙は「奸」「不義」という関羽とは対極の、そして『演義』最大の悪役である曹操に通じる属性によって、関羽の敵役として位置づけられていることを示した。
二松学舎大学人文論叢
二松学舎大学人文学会
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