<残留日本兵神話>の起源と終焉―ラフマット・小野のみたインドネシア独立戦争―
東南アジア学会関東部会9月例会
東京都文京区・東京大学
第二次世界大戦後、インドネシア共和国に残留した日本兵を、「祖国日本に捨てられた棄民」や「異国の戦争で活躍した英雄」として描く従来の言説を、実像から乖離した「残留日本兵神話」であると批判し、新史料の発掘・読解を通じて、その実像に迫った。事例として、ラフマット・小野盛氏を取り上げ、略歴を紹介した後、1946年ごろの情勢について史料にみられる小野氏の動向を中心に詳しく述べた。そして史料から明らかとなる残留日本兵の役割は、「翻訳者」、「教育者」、「実践者」としてのそれであったと主張した。