インドネシア残留日本兵の「語り」の戦後史
戦後の日本社会のなかでインドネシア残留日本兵がいかに表象されてきたのかを、残留元日本兵の互助組織・福祉友の会の中心的存在であったジャカルタのフセン・藤山秀雄氏の肖像の変遷を辿ることによって明らかにした。その結果、1980年代前後においては、「貧困のアジアに生きる日本人の戦争犠牲者」として国民国家の物語に回収されていた彼らは、1990年代前後に、「生きている英雄」として国民国家の別の物語に再回収されているという情況が明らかとなった。(10頁)
『アジア共生学会年報』
アジア共生学会
No.4