柏南交友会の7月例会の講演会で講演を行った。近代日本のキリスト教の歴史と社会的・文化的な影響を概説した後、20世紀前半の東京市と京都市のプロテスタント教会の立地状況とその特徴を紹介した。東京市は大正時代後期から昭和前期にかけて郊外の都市開発が進むにつれ、教会も開発されたばかりの市街地に次々と立地していったが、エリアごとの違いが見られた。京都市でも旧市街周辺の都市開発が同時期に進んだが、旧市街での教会の立地が中心であった。また、東京市の教会の中には関東大震災により移転したものが複数見られたが、京都市は大規模災害以外の要因での移転があったことも紹介した。そして、近代の日本におけるキリスト教という外来の宗教の社会的な立ち位置を都市部の教会の立地という空間情報から把握する可能性に言及した。