関係としての「視る」こと-小杉天外『初すがた』の構造-
「語り」の概念を導入し、「視る/視られる」という関係が小杉天外の『初すがた』というテクストでどのように分割されているのか、その様相を考察した論。女主人公の「視られる」という存在により、読者までもが「視る」側である強者の位置に導かれることを論じた。そのような事態は現在にまでいたる、大きな認識共同体に依存した結果なのである。物語の結末における自由間接話法についても考察を加えた。
立教大学日本文学
立教大学日本文学会
第77号
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