「平面描写」と「田山花袋」の受容・一九一〇年前後-自然主義的「読者」をめぐって-
明治40年前後の文学状況は、新聞・雑誌などのメディアの発達と無縁ではない。これまで多く論じられてきた「平面描写」が、花袋の他の言説と関係しあって流通された様態を考察した。「平面描写」というシニフィアンは、「人生」「真理」といった用語と密接に関係しあい、その後大正期に形作られる「純文学」を生み出す契機ともなっている。このことは当時のモードともいうべきもので、メディアにより、全国の読者にも影響を与えたことを述べた。
立教大学日本文学
立教大学日本文学会
第72号
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