〔概要〕戦後日本のアジア外交の特徴を、当時の政府・外務省が実現を目指したアジア秩序という観点から、三点にまとめて分析した。その結果、1950年代における日本のアジア外交の目標が、第一に、安全保障政策として、中国と台湾の「分離」を固定化すること、第二に、東南アジア諸国の経済ナショナリズムを抑制し、アジアに相互依存的な調和した経済秩序を創出すること、第三に、中国の東南アジアへの影響力を排除しつつ、中国経済を西側、特に日本に依存させて、ソ連からの離間と穏健化を図ることに、向けられていたことが解明された