武者小路実篤の「それから」受容と歪んだ三角関係-「生まれ来る子の為に」と「ある家庭」をめぐって-
文壇デビュー前における武者小路実篤の創作の状況を、夏目漱石「それから」の受容の重要性とともに考察した。漱石と武者小路の影響関係は精神的な交流だけではなかった。『白樺』創刊前におけるトルストイの影響を受けた文学から脱する創作の方法論を与えたのは「それから」であり、その大きな影響を、これまで顧みられることの少ない「生まれ来る子の為に」と「ある家庭」によって検証した。
『立教日本文学』
第97号
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