武者小路実篤の戯曲『或る日の一休和尚』―すでに捨てていて、そして駆ける―
加藤典洋は武者小路実篤による〈社会化されえない私〉の形象化の先駆性を論じた。本論考では、武者小路におけるこの〈社会化されえない私〉の位相を、彼の戯曲「或る日の一休和尚」を素材に批評的に検討し、柄谷行人の『近代日本文学の起源』、小林秀雄の「私小説論」における問題性との接点を求めた。
『国文学 解釈と鑑賞』
第61巻
8号
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