「野辺の秋風」考――藤原俊成自讃歌再説
日本文学協会第39回研究発表大会
日本文学協会
京都女子大学
藤原俊成の自讃歌「夕されば野辺の秋風身にしみて鶉鳴くなり深草の里」について、拙著『藤原定家論』の成果を生かし、俊成の他の和歌作品、及び歌合判詞・歌学書等当該歌と関わる同時代の言説をも考慮に入れた上で分析を進めて行った。特に第二句「野辺の秋風」の役割を改めて検討することによって、摂取した先行物語の登場人物の心情に寄り添おうとする俊成の詠作方法の一貫した姿勢を明らかにした。