『宮河歌合』本文考―西行・定家は神話を共有したか―
第6回西行学会大会
新編国歌大観第五巻、岩波文庫『西行全歌集』の底本である中央大学国文学研究室蔵本『宮河歌合』一軸と同系統の本に見える独自異文として一番の定家判詞「深蒼海之底」が「探蒼海之底」となっている。以前『藤原定家論』で、第三類本の諸本が、後代の勅撰和歌集で改作された本文の影響を受けていることなどから、定家が記した判詞が「探蒼海之底」であったと考え難いと述べた自説について、同歌合の伝本調査の結果に加え、定家の判詞の分析を進めることで、この問題について再検討し、自著の結論に誤りの無いという結論を導き出した。