藤原定家の『源氏物語』摂取
査読論文。藤原定家が弟子の藤原長綱に語った歌論『京極中納言相語』及び定家の漢文日記『明月記』に見える『源氏物語』関連の言及に対し、現存諸本の本文と引用された漢籍に着目して新たな読みを提示した。さらにこれらの文献に見える定家の自負心が和歌の実作にも反映していて、定家は『源氏物語』の展開でもたらされる登場人物相互の関係を踏まえようとして本歌取、本説取を行ったことを、他歌人の作品との比較で明らかにした。
『国語と国文学』
明治書院
第91巻
第8号
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