早稲田大学中国古籍文化研究所編『中国古籍文化研究 稲畑耕一郎教授退休記念論集 上巻』所収。「関帝文献」の構成に注目して編纂の目的の一端を探った。一口に「関帝文献」といってもその内容は様々であるから、その違いから見える文献ごとの特色や傾向、通時的な構成の変遷等を探り、それらの分析や考察を通して「関帝文献」編纂の目的の一端をあぶり出そうとした。その結果、「関帝文献」全体としては関帝の儒家化という編纂目的が見えるが、後発の文献には史的記載による関帝信仰史の総括を目的とするものと、道教善書も含めた多様な資料によりあるべき関帝像を示すことを目的とするものとがあった。