残留日本兵の定義と先行研究について検討し、残留日本兵研究の課題を示した。その上で、ドキュメンタリーや映画などの映像を使った事例としてインドネシアを取り上げ、当該地域における展開の特徴を指摘した。インドネシアでは他の地域に比べて残留日本兵の数が多く、彼らの独自組織が結成され、現地政府との関係性も強かった。その結果、彼らは祖国からのまなざしを受け入れるだけの存在ではなく、独自の性格を自分たちの表象を加え、1990年代以降の日本における「アジア解放戦争史観」に対応していた。そしてそれは世代交代後も継続しているこ