函館におけるツーリズムと大火との関係についての予備的考察―ダークにならないツーリズム―
函館市で1934(昭和9)年に発生した大火では一晩で2,000名以上の人々が犠牲になった。本稿では、こうした事実が現在の函館市のツーリズムにどのように影響しているかについて分析を試みた。現在の函館市の観光パンフレットや観光案内には大火への言及がみられるが、大火による大勢の犠牲者を想起させる要素は皆無である。現在の函館市においては、大火という歴史的事実が一般的なツーリズムの中からはダークな要素として排除されている。
立命館大学人文科学研究所紀要
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