奈良時代の係助詞「なも」について、用例数が少なく、従来さほど重視されていない『日本後紀』『続日本後紀』の宣命を資料として、『続日本紀』の宣命に見られる「なも」との比較を交えつつ、分析を試みた。その前接語や結びの述語の特徴や、「なも」が原因や理由を述べる際に用いられ、「是以」「故是以」等で始まる帰結の文が続くといった傾向は、『続日本紀』同様、これらの資料においても確認できた。また、前接語に副詞が見られたり、助動詞による結びが見られたりなど、緩やかにではあるが、用法が広がりつつあると思える現象も見出せた。