「わたくし」の歴史記述――永井荷風『下谷叢話』論
合山林太郎編『二松学舎大学東アジア学術総合研究所日本漢学研究センター日本漢学研究叢刊3『大沼枕山と永井荷風『下谷叢話』――新視点・新資料から考える幕末明治期の漢詩と近代』所収。永井荷風『下谷叢話』の歴史記述の方法を森鷗外の史伝のそれと比較し、切断された時間意識や考証を進めていく際の他者との関係性の稀薄さに特徴を見出したもの。語り手の家族や家とのつながりを重視する私的な志向は、同時代の新しい歴史言説の形であったと評価することもできる。
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汲古書院
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