人民民主主義と観念小説――大西巨人における〈東ヨーロッパ〉
山口直孝
昭和文学会第74回研究集会
昭和文学会
特集「〈鉄のカーテン〉を越えて――日本文学とヨーロッパの旧共産圏」における基調講演。大西巨人における東ヨーロッパ、特にポーランドの歴史と文化に関する受容相を検討したもの。人民民主主義に一党独裁とは異なる社会主義の形態の可能性を見出した巨人が、ゴンブロヴィチやカフカなどのリアリズムに収まらない創作を参照しながら、独自の「観念小説」を創造していく道筋を示した。