(二松學舍大学東アジア学術総合研究所共同研究プロジェクト「現代文学芸術運動の基礎研究―大西巨人を中心に」)
研究発表
大西巨人の小説には和漢の漢詩文が引用されることが多々見られるが、『神聖喜劇』も例外ではない。本発表では、まず作者の大西自身を反映していると思われる主人公東堂太郎の学的基礎(漢詩文の教養)の在り方を引用テクストの多様性から示した。ついで、東堂の漢詩文力について、従来のテクスト解釈をそのまま踏襲するのではなく、独自の読みを示している箇所から検討し、東堂が近代人でありながら近世文化人に共通する漢