近年、美術的見地からの研究が進む中国の民間宗教・道教の十王・伽藍神について解説した。例えば、中国では既に逸してしまった古いタイプの伽藍神など、現在、日本の鎌倉の禅寺にのみ現存する稀少な道教図像・彫刻例を中心に、最新の研究成果を踏まえつつ、その歴史的・今日的意義を明らかにし、鎌倉五山禅宗文化に見る中国道教文化の一端を示した。掲載図像については、文化庁・鎌倉国宝館・建長寺・円応寺などの取り計らいにより、実物の調査が可能となった。執筆に当たっては、大阪市立美術館主任学芸員齋藤龍一氏の査読を得た。(※齋藤氏は日本