江淹「瑤草」考 -郭璞「峽草」の継承と展開
江淹以前には例のない「瑤草」の来歴を探った。『山海経』に伝わる“夭逝の帝女が化した”という「峽草」を、郭璞は儒家的立場から、“君子が佩せば敬愛される草”と解釈した。一方、江淹はこの伝説とその発展形である著名な「巫山神女」伝説とを結びつけ、永遠の美しさを保証しつつ男女の別離の悲哀をも詠う「瑤草」を新たに創造した。江淹の代表作「別賦」にみる瑤草はその顕著な例であり江淹の優れた抒情詩人として一面を物語る語といえる。
東洋文化研究所紀要
東京大学東洋文化研究所
No.155
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