日本にのみ現存する祥瑞情報(『延喜式』、『天地瑞祥志』等)、および傍題を持つことで稀有な5世紀初の高句麗古墳に見る祥瑞図などをつなぎ合わせ、それを該期の歴史・思想的背景に照らすことにより、動乱の魏晋南北朝を経て、唐には重要な祥瑞となった獣頭の鳳凰「吉利・富貴」の成立と受容を探った。その結果、例えばその筆法からこれらが『山海経』の鳳凰の系譜を継ぐ吉鳥との意識があること、六朝~唐にかけて重視された「出現すれば天下に災いをもたらす」という「鳳凰に似た四凶鳥(發明、焦明、鷫鸘、幽昌)【松浦業績⑫】」をアンチテーゼ