『視覚文化は何を伝えるか—近代日本と東アジアにおける表象資料』
日本における近代漫画の成立を概説し、その中で1910年代の「新しい女」がどのように描かれたかを論じた。近代漫画の中で、青鞜社の人々は醜く滑稽に、ときに男性のように歪められて描かれた。今では、そのような漫画自体が過ちの歴史となっている。ただ、そうした漫画表現のうちには、歪みそのものの探求も認められる。また、スキャンダラスに描かれる対象であった尾竹紅吉が、むしろ主体的に描く存在として思考していたことも先駆的な存在として見逃せないことを論じた。
「近代漫画と「新しい女」—イメージのズレと歪みを探る」
73-92
春風社
297