本稿では、「してしまう」の多義的な性格について紹介する。終止的な述語につかわれる場合と中止的な述語につかわれる場合とでは、かなりことなる性格をもつ「してしまう」が存在し、文のことなる位置につかわれているという単なる機能的な違いにより生じた現象ではないといえる。両者を比べると、前者は補助動詞の「しまう」が本来もつ語い的な意味(おわりまでおこなう、完了)がよりつよくのこり、終止形の「してしまう」とほかの形(中止形や条件形などその他)をとる「してしまう」は単に機能上の違いではなく、タイプのことなる「してしまう」