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藤田昌士・奥平康照監修『道徳教育の批判と創造』所収。道徳は単なる守るべき決まりや推奨される生き方ではなく、行為者当人が自分から自主的に行うべきものであるという側面を忘れてはいけないことを主張するとともに、そうした道徳なるものの特徴を規範性と自主性の統合性として確認したのち、そうした特徴を人間の行為の構造として理解するために、認識能力の側面・価値判断の側面を入れ込んだ形で図式化することを試みた。そこから見えてきたことは、価値判断主体として自己が形成されということは、「徳目」等を知的に理解していくことではなく、他者との関わりを介して自己それ自体が複数化(変容)することであるらしいということ、であった。 |