松帆の浦の風景
『新勅撰集』『百人一首』に撰ばれている藤原定家の歌「来ぬ人を松帆の浦の夕凪に焼くや藻塩の身も焦がれつつ」については、万葉摂取の作品として知られているが、先行研究により他の勅撰集や『伊勢物語』『源氏物語』の影響も指摘されていることを踏まえた上で、後世の注釈書の中でこの歌の本説と述べられたしるしの煙の物語について、他の歌の注釈書に見える同じような話型の伝承と比較し、悲恋の物語が生まれる背景を考察した。
鈴木健一編『浜辺の文学史』
三弥井書店
147
160