蘇氏蜀学考 ―出版から見た蘇学の流行について―
蘇軾の詩文集の編纂・出版は彼の生前から既に行われ、多種多様な善本・粗悪本が流通していた。それに伴い、蘇軾の詩そのものを評論する詩話や注疏学のテクストクリティークを思わせる手法を用いた詩話が現れる。同時に蘇軾詩文に対する注釈作成の試みという形をとり(注疏の俗化)、蘇軾は杜甫と並んで他の詩人とは一線を画する存在となった。このような出版メディアの発達が生み出した現象は科挙・古文復興とも連動している。
『宋代人の認識―相互性と日常空間―』
汲古書院
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